耐火物は、鉱物からなる原料が主であり、原価の大半を占めています。耐火性鉱物には、珪石・粘土などの天然原料が古くから使用されてきましたが、近代工業の発展とともに、溶融シリカ・電融アルミナなどの人工原料や、天然には存在しない炭化珪素などの合成原料が使用されるようになり、耐火物の性能も大きく向上しました。
化学分類は大きく酸性(SiO₂系、ZrO₂系)、中性(Al₂O₃系、Cr₂O₃系)、塩基性(MgO系、CaO系)などに分類されます。耐火物は、製鉄や重化学工業の操炉過程で、過酷な環境のもと高い頻度で補修、定期的な交換が必要とされることから、価格への工夫や安定供給が強く要求される為、地球上から安定的に確保できる原料を用いた開発が必要とされています。
現在、日本では、耐火物原料の多くを輸入しており、国内外における耐火物原料の産地の例は次のとおりです。
中 国 | カオリン、マグネサイト、バン土頁岩、焦宝石、クロム鉱など |
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南アフリカ | ジルコン、シャモット、シリマナイト、アンダリューサイト、クロム鉱、ハデライトなど |
オーストラリア | ジルコン、マグネサイトなど |
中部日本地区 | 蛙目粘土・木節粘土・珪砂 |
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岩手、福島、福岡 | シャモット用粘土 |
岡山 | ろう石 |
石川、岡山 | 珪藻土 |
※1970代ごろには、国内でも多くの珪石が調達されましたが、現在は中国からの輸入が殆どです。
また、近年の中国の急速な経済発展と環境規制により、新たな原料を模索することも検討され始めています。
以下は、耐火物の主原料となるものですが、自然に存在する天然原料のほかに、人工原料もあり、天然原料では実現の難しい品質の安定などを期待することができます。
耐火物をつくるためには、主原料のほかに、副原料、さらに微量の原料やバインダーを加えます。
耐火物は、このような原料の成分の組み合わせに加え、様々な粒度の組み合わせの工夫が品質を左右します。
また、不定形耐火物は、成形工程での加圧工程などもないため、結合剤が使用が工夫されます。